n8nとDifyを比較|AIアプリ・RAG・業務自動化ならどちらを選ぶ?
n8nとDifyの違いを考えるときは、AIが答える仕組みを作るのか、AIの判断を含めて業務を実行する仕組みを作るのかを先に決めると整理しやすくなります。
社内資料を調べて回答するAIアプリを中心に考えるならDify、フォームやデータベース、通知、APIなどを接続して仕事を進めるならn8nが比較の出発点です。ただし、どちらもワークフローやAI連携を扱うため、機能名だけで一方を選ぶのは早計です。
最初に判断したい3つの質問
| やりたいこと | 第一候補の方向 | 追加確認 |
|---|---|---|
| 社内文書に基づいて質問に答えるアプリを提供 | Dify | ナレッジ更新、権限、回答の根拠 |
| AIで文章を分類し、その結果で外部SaaSを更新 | n8n | 接続先API、実行回数、失敗処理 |
| AIへの質問から社内システムの処理までつなぐ | 両方を比較 | 入口・実行・認証をどこに置くか |
この表は選定の入口です。実際の実現可否は対象システムやアクセス権限で変わります。
同じ業務を想定すると役割の違いが見える
ケース1:社内規程を検索して回答する
従業員が「経費精算の締切は?」と質問し、承認済み規程の内容を根拠付きで返す想定です。必要なのは文書の取り込み、検索・引用、回答の検証、利用者に応じたアクセス制限です。DifyはAIアプリやナレッジを中心に構成を考えやすい候補です。n8nでもAI処理を組めますが、資料更新や利用者向け画面をどう提供するか、別途設計が必要な場合があります。
ケース2:受信メールを分類して担当者に通知する
メールを受信し、AIで問い合わせ種別を判定し、担当チャンネルへ通知する想定です。AIによる分類に加え、メール・通知先・ログなど複数サービスへの接続が必要です。n8nを中心に据えた連携設計が比較しやすい一方、分類用AI処理をDifyで作り外部から呼び出す構成も考えられます。通知できることと、誤分類時に元へ戻せることは別問題です。
ケース3:AI要約を顧客管理システムへ登録する
会議メモを要約し、承認後にCRMへ保存する想定です。要約品質に加え、CRMの書込API、承認者、重複登録の防止、再実行時の扱いまで設計します。外部システムへの登録と記録が中心ならn8nを主候補にします。
n8nとDifyの比較表
| 選定項目 | n8n | Dify |
|---|---|---|
| 中心となる役割 | システム連携・業務実行フロー | AIアプリ・ナレッジ・AI処理フロー |
| 文書検索・RAG | AIノードや関連構成で検討 | ナレッジ機能を中心に検討 |
| API・外部SaaS | ワークフローの接続先として重視 | API、プラグイン等の対象・権限を確認 |
| ユーザー向けのAI画面 | 提供方法を別途設計する場合あり | AIアプリとしての提供を中心に検討 |
| セルフホスト | 選択肢あり。保守・ライセンス条件を確認 | 選択肢あり。保守・モデル接続を確認 |
| 費用を左右する条件 | Cloudの実行量、自己管理サーバー、追加サービス | ワークスペース等の契約条件、モデルAPI・保管・運用 |
両者とも「できる」と書かれた機能に追加契約や技術設定が必要な場合があります。導入前に利用プランと公式情報を確認してください。
料金比較は、表示月額だけで決めない
n8nのCloud利用と、自己管理する構成では費用の対象が違います。セルフホストはソフトウェアの表示価格だけを見ず、サーバー、バックアップ、更新、障害対応、担当者の保守工数を含めます。
Difyでは、サービス本体と利用するAIモデル、保存するデータ、利用人数などの条件を分けます。モデルAPIの利用料金が別途生じる構成もあります。同じ月額表示を横並びにするだけでは総費用比較になりません。
併用するときに決めるべき境界
「DifyでAI回答を提供し、n8nで外部サービスの登録・通知を動かす」という組み合わせは設計例として考えられます。ただし、これは動作確認済みの推奨構成ではありません。連携に必要なAPI、認証、監査ログ、エラー時の戻し方、個人情報の保存先を別途検証してください。
RAGが必要なら「検索できる」と「権限を守れる」を分ける
社内FAQを作る場合、文章を登録して答えを返せても、それだけでは導入できません。例えば人事規程と人事評価の資料を同じ場所に入れると、利用者ごとに読める範囲を分ける必要があります。Difyでもn8nでも、元データのアクセス権限、索引更新、回答時の参照範囲をどう実装するかを確認しましょう。
| 評価観点 | 確認する質問 |
|---|---|
| 文書更新 | 原本を変更したら、回答側にいつ反映されるか |
| 権限 | ユーザーに閲覧権がない資料を検索対象から除けるか |
| 回答根拠 | 不確かな回答を避け、出典を追えるか |
| 障害対応 | モデル・接続先の障害時に業務を止めずに済むか |
| 運用 | 誤回答を誰が検知し、修正するか |
事前検証の最小単位は一つの実業務
新規導入なら、全社展開を前提に選ぶより、「問い合わせメール10件を分類する」「承認済みの規程10文書から回答を作る」のような範囲から確認するのが合理的です。実際の業務資料を使う場合は、個人情報を削除した検証用データを用意します。
分類結果の正誤だけでなく、失敗後の再実行、管理者への通知、モデルの料金、担当者の修正時間を記録し、仕組みが継続して運用できるかで判断してください。
結論|回答を作るか、業務を動かすか
AIアプリやRAGを中心に検討する場合はDifyの詳細、複数の業務システムをつなぐ場合はn8nの詳細から、機能と料金条件を確認してください。両方の要件があるなら、まず必要な処理を分けてから選定します。何を自動化するか整理できない場合はかんたん診断で業務から候補を絞れます。